Claudio Baglioni Nippon

アクセスカウンタ

zoom RSS 容疑者 ロバート・クレイス著 創元推理文庫:見返りを求めない無償の愛情

<<   作成日時 : 2017/05/30 12:43   >>

トラックバック 0 / コメント 0

“スコットはマギーのもの、マギーが預かり
世話をすべきもの。”

マギーという名の警察犬が、この小説の主人公
ロサンゼルス市警の巡査スコット・ジェイムズの
相棒である。
体重は40キロ近く、3歳になる美人(美犬?)な
ジャーマン・シェパードのお嬢さんだ。
性格は勇猛果敢、命をかけて相棒であるハンドラーを
保護し、防御する、海兵隊仕込みの爆破物探知犬
である。

マギーはアフガニスタンでパートナーのピートを
失った。
相棒を失った戦場で、マギーも銃弾を受け負傷した。
そして身に受けたトラウマのせいで警察犬としては
使い物にならなくなってしまった。
そんな折警察犬隊、通称K9の新人ハンドラーと
してマギーの前に現れたのがスコットである。
そしてスコットも心に大きな闇を抱えていた。
警邏中に事件に遭遇、相棒の巡査ステファニーは
銃撃され死亡、スコット自身も被弾し重傷を負った。

体に痛みを抱え、ステファニーの断末魔が繰り返し
頭の中でこだまするスコットは、役立たずの烙印を
押されたマギーに自分の姿を重ね合わせたのだろう。
2週間の訓練期間でなんとか使えるようにと、
スコットはマギーを自分のパートナー犬として選ぶ。
最初の出会いでマギーはスコットの手の甲に咬みつき、
挨拶をした。

スコットとマギーのコンビはすんなり打ち解ける
わけではない。
お互いの事が理解できるまでは真のパートナーには
なれない。
ただし、一度信頼が築かれればその絆は誰にも
断ち切ることができない強固なものとなる。

奉仕の精神などという言葉は、ここ最近巷で
あまり聞かなくっている。
しかし、警察犬マギーにはパートナーに尽くす
事が自分の役目だとわかっている。
それこそが、自分がこの世に存在している
唯一無二の理由だということが。

“ボスが幸せなら、仲間も幸せ。わたしはあなたのもの。”
“ふたりは仲間。ふたりのチーム、ふたりでひとつ。”
警察犬マギーの相棒スコットに対する無償の愛情を
宣誓する言葉の数々には、体の底から湧き上がって
来るような、深い感銘を受けずにはいられない。

とりわけマギー目線の「犬の世界観」の描写が見事だ。
擬人化はせず、彼らの嗅覚が人間にとっての視覚と
同じくらい明確な世界を造形しているのだという。
犬好きだけでなく、動物が登場する物語が好きならば、
普段警察小説を読まない本読み人間にもお薦めの一冊
である。

記事執筆:Letterina

ロバート・クレイスのフェイスブック
https://www.facebook.com/TheRealRobertCrais/

東京創元社のホームページ
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488115050

画像

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

容疑者 ロバート・クレイス著 創元推理文庫:見返りを求めない無償の愛情 Claudio Baglioni Nippon/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる