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zoom RSS 錯綜 キャサリン・コールター著 二見文庫:門外漢はお呼びでない?

<<   作成日時 : 2017/06/21 07:09   >>

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コールター作品のFBIシリーズ第14巻目である。
実はこの作家の小説は初めてなので、シリーズの
登場人物については何も知らずにとりあえず
読んでみた。

シリーズの中心人物はディロン・サビッチとレーシー・
シャーロックのおしどり夫婦FBI特別捜査官の二人組。
この二人の住むワシントンDCのリンカーン記念堂の
銅像の下で青年の死体が発見される。
それと同時期にバージニア州の町、マエストロでは
音大生のデルシーが自宅で何者かに襲撃され、
彼女の兄であるグリフィン・ハマースミスFBI特別
捜査官が捜査に乗り出す。
実はマエストロでは麻薬の密輸組織がうごめいて
いたのである。

サビッチとシャーロックはすでにシリーズ既読の読者
にはおなじみであろうから、興味はおのずと新しい
キャラクターに向けられるだろう。
デルシーは“トラブル磁石”のあだ名のとおり、ろくでもない
男と結婚した揚句離婚するは、事件事故に巻き込まれるは、
彼女の存在そのものがトラブルを呼んでしまう。
そして彼女の兄であるグリフィンであるが、祖母ゆずりの
サイキックな能力がある上、容姿はブラッド・ピット
さながらの、誰もが目を引くほどの“超美形”である。
・・・・・・なんだか少女漫画にあるような設定ではないか。

早々に感想を書くことにする。
おもしろくなかった。
はなはだ残念であるが、いろいろな特徴ある脇役が
出てきて人物設定は決して悪くはないのに、登場人物の
生い立ちや性格を生かし切れていないのである。
異なる産地から取り寄せたさまざまな食材を適切に使い
こなせず大鍋にぶち込んで、結局メニューを台無しにして
しまった力不足のシェフの料理のような小説である。

二つの並行する殺人事件がいったいどうやって一つに
結び付くのか読者の興味はそのあたりにあるのでは
ないかと思うが(少なくともわたしはそれが一番の読み
どころだと期待していた)、この作品ではそういった
技巧は一切無く、「すでにおなじみのキャラクター」を
「新しいキャラクター」と一緒に登場させることでシリーズ
小説として成り立たせているわけである。
ならば以前からのファンが“続き物”として楽しむには充分で
あろうが、新参者の読者にとっては欲求不満のままで本を
閉じることになる。
つまりFBIシリーズ門外漢はお呼びではないということか。

重箱の隅つつきになるが、本編で気になった部分をいくつか
指摘しておこう。
59ページ、フランス人女性ガブリエル・デュボアがグリフィンに
自己紹介する台詞で「念のために言っておくとパリジャンよ。」と
あるが、女性の場合は“パリジェンヌ”である。
322ページ、サビッチの台詞「・・・・ミスター・ハート、処方箋が
亡くなっていることに・・・・」と、誤字がある。
それから、帯では「<FBIシリーズ>堂々の第14弾!」と
あるが、訳者あとがきでは「第13弾」となっている。
どちらが正しいのか翻訳本を数えてみたら14作目であった。
翻訳者自身も油断してあとがきを書いたらしい。

初めてシリーズ作品を読んだ読者に、「他の本も是非読んで
みたい」と思わせるくらいの力量が無ければ、作家としては
一流ではないのだ。

記事執筆:Letterina

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