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zoom RSS 神様も知らないこと リサ・オドネル著 ハーパーBOOKS:死にゆく人の最後の仕事

<<   作成日時 : 2017/07/03 12:57   >>

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“自宅の庭で腐ってく両親を隠すのは楽じゃないんだから。”

まともな人間が一人も出てこない小説なのかと
危惧したが、幸いそうではなかった。
何しろ冒頭から15歳になったばかりの少女が
死んだ両親を自宅の庭に埋めるという告白から
物語が始まるのである。

スコットランドの首都グラスゴーにある低所得者層
が多く住む住宅街。
その年の12月に主人公の少女、マーニーは3つ
年下の妹ネリーと二人暮らしになった。
両親は土の下にいる。
学生のマーニーは絵に描いたような非行少女で、
クスリの売人までやっているが、学校の成績は
たいして勉強もしない割には優秀である。
友人も多いし、整った顔立ちのため男にモテる。

ネリーはどうやらサヴァン症候群の発達障害が
あるらしい。
言葉づかいが妙に「文語調」で、クラスではその
風変わりな言動でいじめを受けているが、
バイオリンの演奏にただならぬ才能を見せている。

母親の死因は自殺のようだが、父親に関しては
はっきりしていない。
問題は姉妹がなんとかして埋めた両親の居所を
周囲に知られないように四苦八苦する部分だ。
それもこれも、二人が養護施設に放り込まれて
二度と離れ離れにならないようにとの必死の
防御策なのである。

この一見、“親に見捨てられた姉妹”に手を差し
伸べるのが隣人のレニーである。
もっともマーニーは彼を“変態野郎”と呼んで
いるが。
それもこれも、レニーの過去の過ちのせいだ。
同性愛者であるレニーは、以前未成年の男娼を
買ったことがある。
未成年買春の現場を警察官に押さえられたレニーは
性犯罪者登録されることとなる。
以来、近隣住人からたびたび嫌がらせを受ける
はめになった。

同居していたパートナー、ジョセフを失いすでに
70歳を過ぎた今のレニーには愛犬のボビーしかいない。
しかし彼は実行するのである。
隣の家に住む親に見離された姉妹を救おうと。
彼は血のつながりなどないマーニーとネリーを世話し、
愛を与える。
遂に土の下の姉妹の両親を発見したこの老人は、
「やれるかぎりのことをやるだけだ」と、少女達を救う
行動に打って出るのである。
なぜそこまでするのか?
人生の悔恨の情を清算するため。
彼に残された時間はわずかだから。

姉妹の母方の祖父ロバートは、レニーとは正反対だ。
彼は突然二人の前に現れ、彼女達の養育権を主張
するが愛情からの行為ではない。
特に自分に反発するマーニーの自由を奪い、服従させ、
自分の思うように操ろうとする。
エゴの固まりのような人物なのだ。
自分の娘イザベル、姉妹の母にした仕打ちを棚上げ
にして。

奪うことで、得るものは何もない。
けれど与える事で得る事は、与えたものをさらに
上回り返ってくる。
祖国を離れ、スイスにいる妻とは離婚し、
両親を、娘を失ったヴラドは最後に何を得た?

記事執筆:Letterina

リサ・オドネルのツイッター
https://twitter.com/lisaodonnell72

ハーパーコリンズのサイト
http://www.harpercollins.co.jp/hc/books/detail.php?product_id=10842

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