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zoom RSS 巨塔崩壊 デヴィッド・ハグバーグ著 竹書房文庫:もしジェームズ・ボンドが敵役だったら

<<   作成日時 : 2018/01/15 12:58   >>

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「楽しみのためさ」

ニューヨークにそびえ立つ新築の超高層
ビル“アトエイス”が、ペントハウスを
購入した億万長者を道連れにお披露目
パーティーが開かれたその日に突然崩壊
した。
厳重な警備と、鉄壁のセキュリティー
システムを突破してこのビルを破壊した
のはたった一人の工作員だった。

コードネーム“ナスル・ザ・イーグル”。
本名カマル・アルダラン、血筋はアラブ
人だが外見は西洋人とそん色なく、イギ
リスで教育を受けたためクイーンズ・
イングリッシュを話す。
長身でやせ形、フリーランスの暗殺者と
して破壊工作を請け負っている。

この男、単なる暗殺者ではない。
己の享楽のために人を殺すことを無上の
喜びとする、正真正銘のサイコパスで
ある。
マンハッタンのビル群破壊は彼の雇い
主であるサウジアラビアの情報部員から
指令をうけた任務だったが、途中で仕事
を中止するようにと、カマルに連絡が入る。
だが彼は最後まで計画を遂行すると、
雇い主の命令を聞き入れない。
困惑した雇い主がカマルに聞く。
おまえの目的は何かと。
そして冒頭の台詞を言い放つのである。
ただ、楽しみのために。

これほど強烈な個性と魅力的なキャラ
クターなら小説の主役として設定されても
いいのだが、カマルはあくまでも敵役で
ある。
主人公は元CIAの工作員カーク・マクガー
ヴィ:愛称マックと、彼の恋人で現役CIA
職員のピート(男性のような名前だが女性
である)のコンビである。
本書はマクガーヴィー・シリーズの21作目
ということで本国アメリカではかなり人気が
ある作品のようだ。

とはいえ、本作に限って言えばマックと
ピートはどうでもいい。
悪行の限りを尽くしたローマ皇帝“ネロ”
のあだ名を付けられたカマルの非情ぶりと、
危険な香りを放つ悪のフェロモンにどっぷり
と耽溺するほうが間違いなく楽しめる。

ネタバレになってしまうが、マックとカマル
の直接対決は本書ではお預け状態である。
きっと作者のハグバーグも、この一作だけ
でカマルという稀有な悪役を葬ってしまう
のは惜しいと思ったに違いない。
華麗な悪の華の散りざまを見届ける為にも、
次回作を是非刊行していただきたい。

竹書房とデヴィッドつながりで思い出したが
デイヴィッド・バルダッチの「完全記憶探偵」
のシリーズ翻訳も是非お願いしたい。
エイモス・デッカーのその後が気になって
仕方がないのだ。

記事執筆:Letterina

竹書房のサイト
http://www.takeshobo.co.jp/book_d/shohin/6034201
http://www.takeshobo.co.jp/book_d/shohin/6034202

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