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zoom RSS Made in Italy ルチャーノ・リガブーエ2018年監督作品:“リコは必ず帰って来る”

<<   作成日時 : 2018/05/08 12:56   >>

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ロック歌手リガブーエが監督を務めた
“イタリアの今”をあぶり出した快作である。

イタリア、エミリア・ロマーニャ州の小さな
町コッレッジョ。
地元の精肉工場で働く愛称リコことリッカルド
と、美容師のサーラの夫婦は一見したところ
何の問題も抱えていないような幸せな庶民
のようだ。
二人の間にはもうすぐ大学生になる息子の
ピエトロがいる。
実家にしがみつく息子に対してリコは外の
世界を見るように諭すが、ピエトロは聞く耳
を持たない。

勤務先の精肉工場ではリストラの嵐が吹き
荒れ、リコの同僚達に次々と退職勧告が
言い渡される。
一工員の彼とて、安寧な立場にいるわけ
ではないのである。
さらに、リコは同僚の女性と不倫関係にある。
穏やかなように見える夫婦間にも、実は
暴風雨が吹き荒れていたのだった。

イタリア人にとってこの映画は、隣人の
出来事か、あるいは友人、いやひょっとして
自分の身に起きている現実の世界を突き
付けられているように身近に感じられるの
ではないだろうか。
市井(しせい)の、普通の人々の日常生活
を監督リガブーエは粛々(しゅくしゅく)と
描いている。

さりげないシーンでリコの人となりを表す、
いいアプローチが最初のほうにある。
広場にいる麻薬中毒の男性が、おそらくは
クスリの影響で幻覚が出ているのだろうが、
刺青だらけの腕をまるで虫がまとわりつい
ているのをはらうような動作をずっと繰り
返している。
リコは、“悪いエネルギーを吸い取るおまじ
ない”をかけた彼のジャケットを件(くだん)
の男性にかけて安心させるのである。

「どんな人間にも、外国人にも偏見を持た
ない」というリコのこの人間性は、しばらく
のちに襲いかかって来る彼の運命の嵐に
活路を見出す光となる。
主人公に“移民の気持ちがわかる”と言わ
せる経済不況は、今を生きる全てのイタリ
ア国民に突き付けられた刃の切っ先なのだ。

今年のイタリア映画祭で「ラジオフレッチャ」
の上映後の質疑応答の際、リガブーエ監督
はこのMade in Italyにも触れており、「今は
ドイツにいるリコも、いつか必ずイタリアに
帰ってくる。」と語っていた。

帰る家があれば、人は戻ってくる。

記事執筆:Letterina

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